鉄道の世界
 
 アランヤプラテート・ホイペト国境  
 大人の一人旅  タイ・カンボジア陸路国境越え
 
アランヤプラテート・ホイペト国境
 
 2015年11月6日(金)〜11月7日(土)  バンコク→アランヤプラテート→シェムリアップ
 注意事項

東南アジアの陸路国境越えの話は、どうしてもバックパッカー的な話が多いが、ここは、仕事のある大人の週末利用の旅という視点で記録してみた。
豪華なホテルには泊まらないが、安さは追及しない。若干の快適さも求める。火曜日から仕事があるからだ。

なお、職業柄、下記の注意事項はつけさせていただく。
本サイトの記録は、当職の経験を記録しているだけであり、このルートでの旅行を推奨するものではありません。
交通機関、国境の情報は刻々と変化しますので、旅行前に必ずご自身で調査してください。
本サイトを見て旅行に出発した結果、ご自身に何らかの損害が発生した場合でも、当職は一切の責任をもちません。
写真と記事は、特に断っていない限り関連はありません。
 

バンコクの出発地は、BTSのサヤーム駅
バンコクへは、今日、11月6日の真夜中、関西空港発の日本航空でやってきた。

ここから、BTSスクムウィット線の北行きに乗る。
アランヤプラテート行きのバスは、「モーチット・マイ」バスターミナルから出発する。
このバスターミナルは、BTSスクムウィット線北の終点、モーチットが最寄りの駅となる。
(タイ国鉄の駅がもっと近くにあるようであるが、頻繁に走っていないので利用していない)。
サヤームからモーチットまでは、42バーツ(当時、1バーツは3.7円)

モーチット駅からモーチット・マイのバスターミナルは歩くと、結構ある(1キロ余り)。
モーチット駅から、わずかにもと来た方向(南)に引き返す。右に曲がって、チャトウチャック公園の南端を横切る。
左手に店(金魚やペットを売っている)が並んでいる道を西に向かって進むと、片側3車線くらいある大きな通りに突き当たる。
突き当たりを右折して、北に進む。右手(東)には、チャトウチャック公園が続いている。
この広い道にそって、頑張って歩くと、「モーチット・マイ」バスターミナルに着く。バスがいっぱい停まっているので、すぐわかる。
右折してから、結構遠い。バスターミナルは、片側3車線の道の西側にある。

何度もいうが、歩くと結構ある。
このバスターミナルへ向かう路線バスもあるはずだし、タクシーで乗り付けるのもよい。
今回の旅は、安く上げることが目的ではない。

  「モーチット・マイ」バスターミナルは、3階建てのようである。
1階は広いホールになっていて、ホールの中央部にはベンチがならんでいて、待合ゾーンになっている。

壁沿いに窓口がならんでいる。
窓口には、行先がタイ文字とアルファベットで書かれているが、アルファベットは小さいので読みずらい。
アメリカや中国に比べ、タイの旅の何がしんどいって、タイ文字を読めないことである。
日本に来る欧米人の苦労が良くわかる。

アランヤプラテート行きの窓口は、比較的奥にある(一番奥ではない)。
バスの運賃は、2nd、1st、VIPに分かれている。

私がチケットを買った窓口は、1stしか値段が書いてなかった。値段は、209バーツ。

窓口には「ARANYAPRATHET NEXT 12:00」という札が出ており、窓口の女性から切符を買う。
ここでは英語が通じる。女性は、「121の乗り場から出発する」と言っている。

 
今の時間は、11時である。あと1時間ある。
アランヤプラテートまで5時間かかるので、食事をとるか。バスの中で食べるものを買っておくのがよい。
ターミナル1階の奥(北)に、安っぽいフードコートがある。日本のショッピングセンターにあるフードコートと同じ形態である。
店は全部で5店くらいで、地元の人のやっているタイ料理の店が4つ、あとケンタッキーがある。
タイ料理の店のうち3店は、メニューはタイ文字しかないので買えない。おそらく英語も通じない。日本語など、絶対通じない。
メニューに英語を併記している店で、タイ風のラーメンを注文した。バスの中で食べようと、ケンタッキーでサンドを買った。
あと、細かい事だが、フードコートの入り口でクーポンを買わないといけない。ケンタッキー以外の店は、現金を受け付けない。
なんで、こんなめんどくさいことをするんだ?

 ご飯を食べ終わると、121番の乗り場に行く。
121番にはバスが停まっている。しかし、これが、目的の12時発のバスかはわからない。

121番の乗り場には、「121」という看板があるだけで、「12:00発,アランヤプラテート行き」と書いた電光掲示板などは無い。
また、日本のバスなら行先が書かれているバスの全面上部にも、行先を示すものもない。
かろうじて、バスのボディーに「BANGKOK→○○(知らない街)・○○(知らない街)・○○(知らない街)・ARANYAPRATHET」と塗装されている。

おおむね間違いなさそうであるが、今までの経験上、海外ではボディーに塗装された地名は結構あてにならない。
まあ、バスに乗るとき切符を見せるから、間違っていれば、何か言われるだろう。
ただ、切符に書かれている地名はすべてタイ文字で、アランヤプラテートと書かれているかは極めて不安である。

バスは、自由席であった。私が乗ったときは、それほど混んでなかったので、真ん中あたりの左の窓際に座った。
残念なことに、切符をチェックする人はいなかった。
そのうち満席に近くなり、バスは11時50分に、121番の乗り場を離れた。
  ?・・本当にこのバスなんだろうか。

この国は、長距離バスにおいては、アナウンス等を行う習慣はないようである。
当然のことながら、このバスに乗っている外国人は私だけである。とはいえ、周りのタイ人に「アランヤプラテート」と連呼すれば、間違っていないことは確認できると思うが、
関西空港を真夜中に出る飛行機で来たので寝不足なうえ、昼ごはんもたらふく食べたので、「乗り間違えても、それも海外旅行か」と、弛緩した気分になり、おとなしく座っていた。
私は、方向感覚に自信があるので、全く違った方向に進めば、わかるだろうとも思った。

ちなみに、1stクラスとはいっても、日本でいうと、昭和時代の安いスキーバス程度のスペックである。
 とりあえず、バスは北に向かって進んでいるようである。
昔の国際空港であるドンムアン空港の前を通っている。アランヤプラテートは、タイの東端なので、どこかで右(東)に曲がるだろう。

しばらく居眠りをしていたようで、気が付くと、バスは郊外の水路沿いの道を走っていた。太陽の向きから、バスは東に向いては知っていることがわかる。

アランヤプラテートまで5時間。東に向かえば向かうほど、田舎になっていく。午後3時ころ、トイレ休憩があった。
トイレ休憩の町(あとで調べたところ、ナコーンナヨックという町)で、切符を拝見におばさんが乗ってきた。
特に何も言われなかったので、アランヤプラテートに向かっているはずだ。

さらに3時間、バスは、国道33号線と思われる道を東へと進む。
  午後5時過ぎ、バンコクからおよそ250キロ東のアランヤプラテートのバスターミナルに着いた。
すでに夕方で、小雨が降っている。
カンボジアとの国境は、この先6キロ地点にあるが、この国境は、面倒な輩が多いらしく、夜は怖いので、この町に泊まることにする。
この町のINDO CHINAホテルを、アゴダで予約している。一泊2900円くらいだったか。
この町に来てから宿を探してもよかったが、ちょっと不安なので予約しておいた。
しかし、バスターミナルの近くにも、中級ホテルが2,3軒あった。INDO CHINAホテルは、バスターミナルから2キロほど北にあるので、こっちのほうがよかったかなと、若干後悔する。
バスを降りると、トゥクトゥクの運転手が、声をかけてきて鬱陶しい。
バスターミナルの北東側出口にあるセブンイレブンで、ジュースを買って一服。
写真は、セブンイレブンの店先にいた犬。東南アジアの町は、やたら犬がうろうろしている。
 
セブンイレブンの横に停まっているトゥクトゥクのおじさんに,「インドチャイナホテルに行きたいのですが」(実際は,日本語ではない。下手な英語。以下同じ。この全ルートにおいて,日本語を解する人は出てこない),と声をかけると,別のおじさんのトゥクトゥクに乗れとのこと,縄張りがきまっているのか?
ホテルまで,2キロくらいで,60バーツ。乗るときに値段を聞いたら,右手は一本指,左手は五本指だったので,15バーツかと思った。
「15バーツ?」って聞いたら,おっさん「そうだ」といったでしょ。
若干納得いかなかったので,ホテルのベルホーイのおっさんに,「バスターミナルからここまで60バーツと言ってるが,相場なの?」と聞いたら,「そうだ」と言うので,払うことにした。大人なので,100円余りの違いで全力で争わない。
一泊2900円のインドチャイナホテル。ベルボーイがいるようなホテルだったのか?

   ホテルの詳細は、様々な予約サイトがあるから略する。結構、いいホテルだ。
  レストランの食事もおいしく、値段の割にはきれい。それとも、バンコク以外の田舎町は、これが相場なのか。
私が泊まったのは、右端のスペリアーというタイプ(要は、一番安い部屋)。
ラックレート(定価)3000バーツ、ウォークイン(飛び込み)980バーツ、ガバメント(政府関係者?)800バーツ、コントラクト(協定料金?)800バーツとなっている。
私は、800バーツ相当の日本円を払ったようだ。
日付は変わって、11月7日(土)。
ホテルのフロントのお姉さんにトゥクトゥクを呼んでもらい、午前8時、国境へ出発。
ホテルから国境までは、120バーツとのこと。ホテルから国境までは、東に8キロ。
昨日のバスターミナルからホテルまでの2キロ、60バーツに割高感を感じるが、まあ気にしない。
ホテルからは約10分で、国境に到着。
このアランヤプラテート、ポイぺト(カンボジア側の町)国境については、やたらと評判が悪い。事前にネットで調べてみると、おびただしい数の詐欺被害、賄賂要求、ぼられ話がヒットする。地球の歩き方に至っては、「ポイぺトには泊まるな」と書かれてある。

これらの被害話を要約すると、
(1)タイ側には、ビザ発行(カンボジアはビザがいる)に法外な値段を要求する代理店があり
   トゥクトゥクの運転手にそこに連れて行かれる。
(2)そこをクリアーしても、正規の(カンボジア政府の)ビザオフィスで、賄賂を要求される。
(3)カンボジア入国後、シェムリアップまでは、タクシーかバスしかないが、様々な手口でぼっ  たくられる。

ここが、この旅の山場である。
  案の定、トゥクトゥクの親父は、事務所のようなところに私を連れて行った。
これが、(1)の法外な代理店か?
さっそく、代理店の親父が出てきて、「ビザはここだ」と声をかけてくる。
とりあえずは、「要りません。」と日本語で言って、逃げる。(1)はクリアだ。

この道は、国道33号線。「AH1」の標識は、アジアンハイウェイ1号線の看板である。
これと同じものが、名神高速の吹田インターと茨木インターの間にある。
   トゥクトゥクから降りたのは、国境ゲートの手前250メートルの所。国道(?)3446号線との分岐点である。
周りは、国境特有の混沌とした雰囲気が漂う。

トゥクトゥクから降りた地点から、国道33号線を、東に200メートルほど進み、左折すると、ロンクルア市場という大きな市場への入り口がある。
昨日のバスの終点は,たぶんここだと思う。
少しのぞいてみようと思ったが、バックパックを背負っており、防犯上問題と思ったので行くのをやめた。
入り口には、タイ最後のセブンイレブンがある。リラックマがいっぱい貼られており、この混沌としたエリアにおいて、日本のキャラに癒される。
  国境を越えよう。
まず、タイの出国手続きをする。
国道33号線を進むと、高速道路の料金所のような国境ゲートがあるが、これは自動車専用である。
歩行者は、国道33号線から、先ほど説明したロンクルア市場への道を左折する。
左折してから10メートルくらいすると、右に、少し暗い幅2メートルくらいの通路が現れる。これが、出国手続場への通路である。
暗くて怪しげな感じの通路で、何を売っているのかわからない物売りの人が床に座っている。ほかの人がいなかったら、こんな路地に入れない。
国道33号線からを左折した直後に右折したので、この通路は、国道33号線に沿っている。
しばらく進むと、「タイ人1階」「外国人2階」という標示が現れるので、階段を上がり、2階に行く。
階段の先にガラス扉があるが、怪しい店のように真っ黒なフィルムを貼っており、その先が見えない。
ここを開けると、タイの出国審査場だ。この時間、外国人はだれもおらず、1分で通過。
ホテルを出てから、ここまで30分。
  階段を下りて、地上にでる。川が流れており、橋を渡る。この川が国境のようである。
左側に鉄道の鉄橋が見えるが、現時点で、列車の運行はない。

橋をわたると、アンコールワットを模したゲートがある。このゲートの写真は、下調べ時にネットで何度も見たものである。
次に現れるのが、カンボジア政府のビザ発給所である。トラップ(2)が仕掛けられているはずである。
下調べによると、ビザ発給所は、アンコールワットのゲートの手前(タイ側)の国道33号線
(国が変わっているので、国道33号線の続きの道)の右側にあるようだ。
見ると、右側に無骨な白い建物がある。これが、ビザ発給所だった。
わかりにくい。「VISA」の看板のひとつでも出せばいいのに。
地球の歩き方「アンコール・ワットとカンボジア」の地図では、ビザ発給所は、ゲートの東(カンボジア側)となっているが、
実際は、ゲートの西側(タイ側)ではないかと思う。
この建物の中に入る。ガラーンとしたホールになっていて、南東(入り口から見て正面)に窓口があり、その右側にテーブルがおいてある。
先客は、欧米系のバックパッカーが一人。
この窓口の上に、ビザの料金表が掲示してあり「ツーリストビザ 30ドル、ビジネス35ドル」と書いていたと思う。
窓口の前に、制服をきた男性が立っており、「ビザが欲しいんですけど」と聞くと、申込用紙をくれる。

申し込み用紙を記入していると、さっきの男性が寄ってくる。
申込用紙に「入国地点」という欄があり、ポイペトだけど、スペルがわからないやと思っていると、男性が机の上の落書きを指差す。
そこには、poi petと書いてあるのでそれを写す。「目的地」という欄があり、シェムリアップだけど、スペルは?と男性のほうを見ると、
机の別の場所の落書きを指差す。こちらは、ほとんど消えていてわからない。適当なスペルを書いた。
たぶん間違っているが特に問題ない。この緩い雰囲気で、そんなこと言われるはずがない。
最後に写真だ。事前の下調べでは、メガネなしとのことだが、写真はメガネをかけている。当然、そんなことは問題にならない。
  書き終えた申請書と写真を先ほどの男性に渡す。男性は、写真と申請書をホッチキスで留めて、窓口の係員に渡してくれる。
この男性、さっきからとてもサービスがいい。当然、これには裏があるはずで、「おもてなし」であるはずはない。
男性は「ワンサウザンド、アンド何とかハンドレッドバーツ」と口にした。(2)の始まりである。
よく聞き取れなかったが、1000バーツが定価の30ドルとほぼ等価だから、何百バーツかが加算されている。
私は、「えー30ドルじゃないの?そもそも、そんなにバーツ持ってませーん」と抵抗したところ
汚いクリアーファイルを出してきて、その中の紙を見せる。
おそらく、事務所においてあるPCのワードで打ち出しただけの紙には、
「1?00 BAHT OR $30+100BAHT」と書いてあった。
100バーツが賄賂かチップということだ。めんどくさいし、370円で口論することもないか。というか、暑いし。色々教えてくれた男性へのチップということで、100バーツを進呈する。
5分くらいで、ビザが完成し、パスポートに貼られて戻ってきた。(2)クリアだ。

本当はクリアではなく、謎のお金を払ったのだが、トラブルを避けるために大阪のカンボジア領事館で事前にビザを取得すると、ビザ代は4500円である。一方、私が払ったのは、謎の上乗せを入れても、4000円弱なので、得したといえば得したことになる。

要は、定価なんてないのだ。
  次は、カンボジアの入国審査である。
アンコールワットのゲートをくぐると、7,8階建てのカジノホテルが道路の両側に並んでいる。
入国審査場は、そのホテルを2,3軒過ぎたところの道路の右側にある。
1階建ての小さな建物で、とくに、「イミグレーション」等の表示はなかったと思うが、

青色の柱の屋根つきの通路(小学校の渡り廊下のようなもの)があるので、なんとなくわかる。
(写真の左下:左の写真は、カンボジア入国審査の建物から、タイ側を写している、
 このゲートの向こうの左側(タイ側からみて、右側)に、ビザ発給所がある)。
  入国審査場では、お金はいらない。とくに、要求もされない。
入国カードに必要事項を記入して、窓口に提出する。 窓口にはカメラがあり、写真を撮られる。
また、指紋読み取り装置も置いてあったので、指を入れようとしたら、「それは、いい」とのこと。故障中か?
これで、手続きが完了。時刻は、8時45分。インドチャイナホテルを出てから、45分。
タイ側で市場などを覗いて、10分くらい寄り道をしたので、正味30分で到達した。

しかし、タイを出国した後のこの道(タイ国道33号線の延長)には、遮断機もなければ、警官もいない。
ぼんやりと歩いていたら、ビザも入国審査も受けずに、カンボジアに入国できてしまうのだが、どうなのか?

さて、次は、シェムリアップまでの交通の確保だ。
シェムリアップまでの距離は160キロ。大阪ー名古屋間の距離と同じである。
予習によれば、この間の交通機関は、バスと白タクがある。
バスが一番安い(10ドルくらい)らしいが、バス乗り場が2箇所あるらしい。
一箇所は、この国境から700メートルくらい東に歩いた地点、もう一箇所はその先数キロのところにあるらしい、
それぞれのバス停から、各社のバスが出ていて、それぞれの会社ごとに一日2,3本のバスが出ているとのことである。
遠い日本で予習しているときは、なるほどと思ったが、この地に立ってみると、これほど使えない情報はない。
何時に出るかわからないからだ、満員になれば発車するとの情報もあった。

おまけに、遠いほうのバス乗り場までトゥクトゥクで行ってしまうと、すぐに出るバスがないと待ち続けるしかなく、そうすると、白タクのドライバーが出てきて、法外な値段を吹っかけてくる。それは嫌だと、国境ゲートまで戻ろうと思うと、
帰りのトゥクトゥクが法外な値段を吹っかけてくるとのことだ。
ひどい。遠くまで連れて行って、選択肢を無くしてから、法外な値段を吹っかけるとは…。
さっそく、そのへんのトゥクトゥクのドライバーが「バスターミナル行くか?」と、わらわら寄ってきた。
周りに外国人がほとんどいないので、私のところにいっぱい寄ってくる。
ぼられることが確実な、遠いバスターミナルという、選択肢はない。

とすると、まずは,700メートル先の近いバス乗り場に行ってみようか。
こちらのバス乗り場なら、バスがなくても、歩いて帰ってこれるので、選択肢を保持し、強気の交渉ができる。

バス以外の交通手段として、白タクに乗るという方法もある。白タクがいっぱいいるのは、入国審査場の脇、つまり、今私がいるところで、タクシー1台4000円くらい、シェアをすればその分安くなる。速攻で、外国人の同乗者を探すべし、と予習している。
3人同乗者を探せば1000円で、これが一番快適そうだ。
しかし、外国人が全然いないな…。
 
とりあえずは、近い方のバス停へ行こう。トゥクトゥクのドライバー達を振り切って歩き出すと、次は、若干身なりのまともな男性が近づいてきた。
その男性は、白タクのドライバーで、「シェムリアップまで25ドルで行きますよ」と言ってきた。
25ドルは3000円なので、事前の予習よりだいぶ安い。しかも、交渉を経ない、先方提示額が3000円だ。
こういった交通費が、事前の予習より安いことはあまりないので、シェアして3000円かと思っていた。
男性に「1台で25ドル?」と聞くと「そうだ。あなた一人の値段だ」とのことだった。

えらい安いな。大丈夫かこいつ?予習した被害事例の中で、途中で強盗になる運転手もいるなどと書いてある。
しかし、ひとりでゆったり160キロ移動して、25ドルは魅力的だ。バスは3時間かかるし、いつ出るか不明。
このドライバーは、2時間で着きますよと言っている。
若干不安だが、この男性についていくことにする。とりあえず、「何人かでシェアしてもいいから、安くしてよ」というと、「ツーリストはほかにいない」という。それは、そのとおりだ。
25ドルを値切ってみたが、却下された。

ドライバーは,すぐ近くに路駐している車に案内してくれた。年式の新しいトヨタのカムリだ。これは、快適そうだ。
まだ少し、不安だったので、「シェムリアップまで、オンリー25ドルで大丈夫?」と再度聞いたら、「その通りだ」と答えが返ってきた。
ちょうど、警察官が横にいたので、「大丈夫?」と聞いてみた。警察官はうなずいたが、あとで考えると、この確認は、お上を信頼する極めて日本人的発想からきており、ほとんど意味はない。

ドライバーが、小銭をそのあたりにいた誰かに払うと、さっそく出発する。
「韓国人か?」と聞かれたので、「日本人だ」と答えた。最近、海外でこのやり取りが多くなった。頑張れ、日本人。
ドライバーは、「すばらしい。この車も日本の車だ。すばらしい」と言ってきた。私は「ありがとう」と答えた。
このやりとりも、よくある。ただ、このあたりで、会話は途切れる。あまり、話すこともないからだ。

(3)クリアーだ。
このあとの移動は実に快適だった。片側一車線の道を、このドライバーは、時速100キロで走り続けた。
途中、2,3の町(シソポン等)があるが、ほとんどは、青い空とどこまでも続く水田が広がっていた。
水田は、牛が耕しており、農家の庭では、アヒルや鶏が走り回っている。タイとは、明らかに違う国になった。平和な風景だが、それ程遠くない過去、ここで内戦や虐殺があったのだ。

2時間後の午前11時、シェムリアップのホテルの前に何事もなく到着した。インドチャイナホテルを出てから、ちょうど3時間だ。
ドライバーは、追加料金を請求することもなく、どこかへ去って行った。

国境越えのレポートは以上である。
誰が行ってもこの通りになるとは限らないので、旅は自己責任でお願いしたい。


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